特集/コラム
【コラム】2003-01-30
2003年のデパ地下のゆくえは?〜デパ地下別ブランド展開の大成功
2003/01/30




気になって色々と調べてみたところ、噂どおり、3つのショップとも「株式会社プレジィール」という会社が経営しているということがわかりました。その母体は、「丸信製粉」という、90年以上にわたって製粉業を続けてきた会社。代表取締役の安井健富氏の言葉をご紹介すると、「小麦粉は幹。そこから麺や菓子、パンといったさまざまな枝が伸び、葉を広げ、大樹として成長していきます。私どもはしっかりとした幹を作るのが仕事。しかし、木は幹だけでは大きくなれません。」とのこと。一見華やかなこれらの事業展開は、小麦粉という原料のみの世界にとどまらず、その加工製品である洋菓子作りを自ら経験し、ノウハウを蓄積することで、対メーカーへの原材料供給の面でさらに有効な提案をしていこうという、前向きな姿勢の表れだったのです。 株式会社プレジィールは、現在、以下のような洋菓子ブランドをデパ地下で展開しています。
●グラマシーニューヨーク
ジェイアール名古屋高島屋、京都高島屋、新宿高島屋、横浜高島屋
●ラビアージュ
名古屋三越栄本店、名古屋三越星ヶ丘店
●グランアルティザン
名古屋松坂屋本店、名鉄百貨店(1階)


これまでも、各デパートのオリジナリティを確立するために、専属契約を結ぶ形で出店する洋菓子店はありました。池袋西武とルノートル、新宿小田急とトロワグロなどが、その典型ですね。また、「○○デパートオリジナル商品」を共同開発して目玉商品のひとつとするという動きは、最近では当たり前のものとなっています。銀座三越でペルティエのお惣菜、東武百貨店でミクニの本格的なブーランジェリーなど、同じブランドでも他店では扱っていない物を扱う形で出店をすることも多く、もはや「二番煎じ」は通用しないことを感じさせます。ですが、このように、1つのメーカーがデパートに合わせてブランドを変え、他にはない新しい雰囲気を自在に演出するという方法、これほど明確に打ち出したのは、この会社が初めてではないでしょうか。その意味で、昨年一年間を通してのこちらの会社の躍進は、とても興味深いものでした。
今後、このような形でデパートごとに提携してオリジナルブランドを生み出すようなうねりが、他からも生じてくると面白いと思っています。和菓子の老舗「たねや」から、焼きたてバームクーヘンが人気の「クラブハリエ」が生まれたように、和菓子店から洋菓子店など、意表をつくような展開も興味深いですね。各デパートのバイヤーさんが創意工夫を凝らし、これからのデパ地下がどのように変化するのか、その動きを生々しく感じられることを、楽しみにしています。

2002年7月、TVチャンピオン初代デパ地下女王となる。チーズケーキとチーズ好き。お気に入りは、東急フードショー「シェ麻里お」、銀座松屋「タント・マリー」など。目下の目標は、ケーキのデジカメ撮影技術の向上。『東京一週間』デパ地下グルメ鑑定団でも活動中。
幸せのケーキ共和国